【給与・世帯の考察②】高齢化と世帯構造/コロナの影響を受けている職種の特徴について調べてみた

日本の世帯数と世帯年収 社会

こんにちは。前回は首都圏・23区のマンションの価格と所得の状況について国税庁「民間給与実態統計調査」、厚生労働省「国民生活基礎調査」から考察を行いました。

今回はマンションを離れ、前回と同じ統計調査から①日本の高齢化と世帯構造、②コロナの影響を受けている職種の賃金や特徴について調べました。①については前回、厚生労働省「国民生活基礎調査」で世帯年収の平均値と中央値に差があったことが気になり調べたところ、高齢化が大きな影響を及ぼしてみました。②については再度緊急事態宣言が発出され、ますます経済的に困難な方が増えると思われる中で、特に影響を受けている職種の所得状況などについて国税庁「民間給与実態統計調査」から調べてみました。

なお、素人が勉強のために政府の統計データを読み解いています。グラフ作成の段階で間違いがあったり、統計の特性や背景についての理解が及ばす、誤りもあるかもしれません。

高齢化による日本の世帯構造の変化と所得・賃金

前回の考察で気づいた世帯年収の平均値と中央値の差について、世帯構造から調べてみました。

日本の世帯数は年々増加していますが、世帯の平均人数は年々減少しています(1985年3.22人→2019年2.39人)。核家族化は昔から言われていますが、加えて単独世帯の増加が著しいです。

厚生労働省 令和元年 国民生活基礎調査より

上のグラフは単独世帯の世帯数と年収を示したものです。単独世帯は年々増加を続け、全世帯の約27%になっています。単独世帯の世帯年収は全体の552万円に対し、275万円です。200〜300万は所得分布で最も割合が高い中央値、ボリューム層の金額です。1998年に300万円となり、そこからは少し下がって横ばいで240~290万円の間となっています。比較のために核家族世帯の年収を載せています。核家族世帯の年収は全体の平均より少し高い水準で同じように推移しており、平均との差は年々広がっています。平均値は数としては増えている横ばいの単独世帯の影響を大きく受けているようです。

それでは単独世帯はどのような世帯が多いのか。学生、実家を離れた就職したての社会人、伴侶のいない高齢者、結婚が難しかった氷河期世代、若年のワーキングプアなど様々な層がいるかと思います。
データでは男女の割合については見たところ、近年女性が若干多いですが、ほぼ半々でした。気になったのは高齢者の世帯です。

厚生労働省 令和元年 国民生活基礎調査より

まずこちらは日本の高齢化について。現在、約3割の世帯が65歳以上のもので構成される(未婚の18歳以下の者が加わった世帯も含む)高齢者世帯です。大分高齢化が進んでいます。そしてこの高齢世帯は1986年から通じて約半数が単独世帯です。

高齢者単独世帯については単独世帯全体で見るとその割合は年々増加し、全体の約半数を占めるようになっています。2割から5割に増加。すさまじいです。よって単独世帯の年収も高齢者世帯に大分引っ張られそうです。

厚生労働省 令和元年 国民生活基礎調査より

高齢者世帯は全体の3割、そのうち半分は単独世帯であり、それは単独世帯全体の半数でもある、ということがわかりました。全体、高齢者以外、高齢者世帯、単独世帯の所得を比較すると以下になります。

厚生労働省 令和元年 国民生活基礎調査より

単独世帯の年収と高齢者の年収は近くなっています。今回はこれ以上調べていませんが、高齢者世帯の平均年金額は200万程度なので、高齢者は日本の世帯年収の中央値、200~300万円のボリューム層の大きな要素となっていそうです。300~400万円の個人給与の中央値より低いのもそのせいかと思います。格差の問題を考えるときには高齢者は一つの問題であることがわかりました。高齢化によって世帯年収が下がっていることを考えると、経済にもかなりの影響があるということを改めて思いました。ただし、あくまで収入ベースなので、資産があって裕福な世帯ももちろんあるでしょう。一方で非正規雇用やワーキングプアなど、現役世代の格差については違うデータからまた別個に考える必要がありそうです。

・日本の平均世帯年収は552万円、中央値は200~300万円。格差がある。
・日本の世帯数は増加を続けており、特に単独世帯の増加が著しく、2018年は全体の約3割。単独世帯の年収の275万円は世帯年収におけるボリューム層である。
・日本の高齢化率は年々増加、2018年は世帯ベースで約3割、うち半数が単独世帯。ボリューム層の担い手の一つが増加している高齢者の単独世帯。

コロナ禍の影響を受けている職種の特徴

最後に、全く話は変わりますが、緊急事態宣言でますます経済への影響が深刻になると思われます。特に影響を受けやすい職種はどのような特徴があるのか、生活に打撃を受けるのはどのような人なのか、データから調べてみました。メディアやSNSでは「女性の自殺率が上がった」という情報や「元々ぎりぎりの生活を送っていた層への影響が深刻」という意見があがっています。

国税庁の「民間給与実態統計調査」から職種ごとの給与所得者数、男女比率、給与額等がわかります。まずは給与所得者数と男女比率です。

1年を通じて勤務した給与所得者 国税庁 民間給与実態統計調査結果(令和元年)より

この調査だと業種の設定が広いので、コロナ禍の影響を受けている業界のデータそのものとは言えませんが、この中で影響を最も受けているのは「卸売業、小売業」(百貨店やアパレル、スーパーなど各種商品小売含む)「宿泊業、飲食サービス業」「運輸業、郵便業」(航空、鉄道、物流など)「サービス業」(理美容、クリーニングなどの生活関連サービスや娯楽業を含む)、そして最も人手が足りていないのは「医療、福祉」かと思います。※業種の内容の分類はこちらです。→https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm

「卸売業、小売業」「サービス業」「医療、福祉」は製造業についで給与取得者数が多い業種です。今回の影響を受ける上記の5業種は給与所得者の約7割を占めるので、すべての企業が影響を受けていないとしても、経済や人々の生活への影響は深刻と言えます。また、「運輸業、郵便業」以外の職種に女性の給与取得者が多く、上記の5業種で女性の給与所得者の75%以上を占めます。職種で見ると女性への影響は男性よりあるといえます。
「医療、福祉」については女性の給与取得者が多く、肉体的、精神的負担が多くなっています。

次に給与面です。各職種の平均給与を低い順に並べたものです。

1年を通じて勤務した給与所得者 国税庁 民間給与実態統計調査結果(令和元年)より

「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「サービス業」「医療、福祉」が平均給与が低い順に5番までに入る業種となっています。元々給与の多くない業種が最も影響を受けていることがわかります。「医療、福祉」以外については、この特徴があるからこそ、生活が立ちいかなくなっている人が多いのかもしれません。密になりやすい人と接する生活に身近な企業ほど、給料が安価でアルバイトやパートタイムなど非正規雇用者を雇用している現状があり、そこに勤めている人が一番はじめに影響を受けてしまいます。

また、どの業種も女性が男性より給与の平均が低くなっています。「医療、福祉」の中央値は男女であまり変わりはありませんが、特に「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」では平均給与は女性の男性の半分以下となっています。パートタイム雇用など雇用形態の違いももちろんあると思いますが、もともと厳しい生活をしていた女性が一番ダメージを受けるという現実もあり、自殺者が増加している理由の一つかもしれません。

・コロナ禍で最も影響を受けている職種(「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「運輸業、郵便業」「サービス業」「医療、福祉」)は給与取得者が多い職種が中心となっており、経済や多くの人の生活に影響を及ぼす
・上記職種は特に女性の割合が高く、影響が大きい
・上記職種は相対的に平均給与の低い職種であり、元々生活が厳しい人がダメージを受けやすく、特に女性はさらに給与が少なく、最もダメージを受けている人がいる

まとめ

今回は国税庁の「民間給与実態統計調査」、厚生労働省の「国民生活基礎調査」から、日本の平均給与の年次推移、世帯数や世帯構造の変化、職種ごとの男女比や給与などの特徴について学ぶことができました。コロナの経済への影響など、何となくニュースで聞いて直感的に納得してしまいますが、しっかりと実際のデータから状況を把握し理解することも必要だと感じました。いまはインターネットからすぐにサマリの情報は手に入りますが、データを眺めて自分の頭で考えるのもたまにはいいですね(笑)

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