【給与・世帯の考察①】首都圏の不動産市場と日本人の所得状況について調べてみた

社会

2021年となりました。お正月からいきなり1都3県に緊急事態宣言が発出され、厳しいスタートとなりそうですね。。。

新年早々ですが、今回は日本の賃金、給与について調べました。きっかけは首都圏のマンションの値段が上がり続けている中で、この価格帯でどれくらいの人が買えるの?と思ったことでした。マンションの話から、日本の高齢化と世帯構造、職種別の賃金等について考察が広がりました。なお、素人が勉強のために政府の統計データを読み解いています。グラフ作成の段階で間違いがあったり、統計の特性や背景についての理解が及ばす、誤りもあるかもしれません。
使用統計データ→国税庁「民間給与実態統計調査」、厚生労働省「国民生活基礎調査」

今回はまず首都圏・23区のマンションの価格について、所得の状況からどの程度購入できる層がいるのかを調べてみました。

これまでのマンション関係の記事こちら↓

首都圏のマンション市場

首都圏のマンション価格は上がり続けけています。下のグラフは「不動産経済研究所」(https://www.fudousankeizai.co.jp/)の「首都圏マンション市場動向」というレポートから作成した直近10年の新築マンション価格推移のグラフです。

「不動産経済研究所」(https://wwwfudousankeizai.co.jp/)より

2014年頃より首都圏、東京23区のマンション価格は右肩上がりです。特に直近だと東京23区では約9000万円、首都圏でも6700万のローンが組めないと(現金が用意できないと)70㎡(3LDKのイメージ)の部屋を購入できません。特に23区の値上がり幅は大きく、10年前の1.5倍の価格となっています。平均が9000万・・・家を買うのはタイミングがあるとはいえ、早めに買っておけば大分お得でしたね~…。供給数が少ないため価格も高いようですが、新築を購入する場合、部屋数を減らすか、23区から少し離れた郊外の購入を検討する方も多いのではないでしょうか。

こちらは「東京カンテイ」(https://www.kantei.ne.jp/)さんの「市況レポート」から作成した直近10年の中古マンション価格推移のグラフです。

東京カンテイ(https://www.kantei.ne.jp/)より

こちらも2015年頃から価格が上昇しています。直近だと東京23区だと5566万、首都圏が3700万ほどです。新築よりは購入しやすい価格になっています。中古は売買のタイミングが難しいですが、いまは中古購入の方がよいかもしれません。

2020年 SUUMOの山手線新築マンション価格マップ(70㎡換算)高すぎです…

年収と住宅ローン

一般的に、年間の返済額を年収の25%以下に設定するのが望ましいと言われています。2021年時点でのフラット35の35年借り入れ最低金利は1.29%なのでこれで年収とローン金額の目安をざっと計算します。管理・修繕費を2万円としています。

【中古・首都圏】3700万 月々ローン約11万+管理・修繕費2万 年収の目安:630万  
【中古・23区】5500万 月々ローン約16万+管理・修繕費2万 年収の目安:860万
【新築・首都圏】6700万 月々ローン約20万+管理・修繕費2万 年収の目安:1060万
【新築・23区】9000万 月々ローン約27万+管理・修繕費2万 年収の目安:1400万

実際は変動金利を選ぶ方が多いのでもっと年収の目安は下がるかもしれません。この他にも固定資産税や購入時には登記費用やローンの保証料、修繕積立基金など数十万~数百万かかります。頭金も必要です。また、もちろん実際25%を住居費に当てるのか、という心理的なハードルもあります。

さてではどのくらいの人が現在の23区の新築マンションを買えるのでしょうか・・・日本の所得の状況について調べてみました。

日本の所得・賃金の推移とマンション価格

所得・賃金について、給与所得者(個人)、世帯という二つの視点から調べてみました。

給与所得者の給与

まず、国税庁の「民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm#b-00)の令和元年のデータを調べました。各年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間の事業所に限る、公務員は含まれません)に勤務している給与所得者を対象とした調査です。給与所得について企業規模別、業種別など様々な切り口から調査がされています。給与所得者が対象なので、一般的なサラリーマンの実態の把握にはよい調査ではないでしょうか。個人事業主や経営者が入るとまた少し傾向は異なるとは思います。

国税庁 民間給与実態統計調査結果(令和元年)より

まずは基本情報として、この調査対象である給与所得者数の推移です。2019年で約5250万人が給与をもらっており、人数は年々右肩上がりになっています。特に女性の数が増えており、この10年でも共働きの増加など、働く女性が増えていることがわかります。その他、シニアが働き続けるようになったことも総数の増加要因の1つかもしれません。

国税庁 民間給与実態統計調査結果(令和元年)より

次に平均給与額の推移です。2019年で361万円で、こちらは2014年までは停滞、その後はアベノミクス効果か、2018年まで右肩上がりになっています。10年前と比べて1.04倍ほどです。給与所得者数が増え、給料も上がっているのが現状です。(しかし、物価指数も同じくらい上がっているので実質はほぼ横ばいかと思います。)

それでは給与の分布はこの10年でどのように推移しているかというと、

国税庁 民間給与実態統計調査結果(令和元年)より

ボリューム層は平均給与の300~400万円で変わりませんが、400万円以上の各層が増えています。全体の給与取得者数と平均給与が増えているので、平均から下の層の数はあまり変わらず、平均以上の人が増えているといえるかもしれません。格差の問題につながります。

ではこの所得分布でどの程度の方がマンションを買えるのか。

【中古・首都圏】3700万 年収の目安:630万 →給与所得者のうち上位約20%が対象
【中古・23区】 5500万 年収の目安:860万 →給与所得者のうち上位約8%が対象
【新築・首都圏】6700万 年収の目安:1060万 →給与所得者のうち上位約5%が対象
【新築・23区】 9000万 年収の目安:1400万
→給与所得者のうち上位1%強が対象

10年前と比較して、年収600万円以上の割合も少しですが上がっており、総数も増えているので、上記のどの価格帯も買える人は増えています。
しかし、新築は特に購入できる層が限られています。10年前は首都圏の新築マンションは4600万(年収目安750万、上位約1割)、23区のマンションは5800万(年収目安920万、上位約5%)で買えていたので、マーケットが大分狭くなってしまっています。

ここで、個人単位の購入=1馬力ではなく、共働きを想定した世帯年収を考えてみます。

世帯年収

世帯数と年収については厚生労働省の「国民生活基礎調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html)から調べました。保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的としている調査です。

調査によると、2019年は推計約5180万世帯で、平均世帯年収は2018年で552万円です。世帯数は1985年以降増え続けている一方、世帯年収は1994年の664万円をピークに下降、最近は横ばいとなっています。

少し細かいですが、世帯ごとの所得金額分布をグラフにしたものがこちらです。

厚生労働省 令和元年 国民生活基礎調査より

全体の推移としてはバブル期に高所得層が増えているのが目立ちます。また、バブル後の2000年代から400万円以下の世帯が増加しているのに対し、2005年以降は700万円以上の世帯は横ばいのように見えます。ボリューム層は2018年は200~300万円となっています。平均の500万円台より低く、個人給与のボリューム層300~400万円よりも下がっています。不思議な構造です。

ではこの世帯の所得分布でどの程度の方がマンションを買えるのか。

【中古・首都圏】3700万 年収目安:630万→上位世帯約35%が対象(上位所得20%)
【中古・23区】5500万 年収目安:860万→上位世帯約21%が対象(上位所得8%)
【新築・首都圏】6700万 年収目安:1060万→上位世帯約12%が対象(上位所得5%)
【新築・23区】9000万 年収目安:1400万→上位世帯4%程度が対象(上位所得1%)

共働きの増加もあり、個人の収入ではなく世帯年収で考えると購入可能層は増えます。その他、親の援助がある家庭もあるでしょう。いまのマンション市場はこの状況を前提に値上がりを続けており、やはりいわゆるパワーカップルがターゲット層となっていることがわかります。
といっても23区の新築は、一昔前の高級マンションの価格となり、共働きの増えた現在でも数%しか購入できない現状を見ると、これ以上の値上がりは首都圏にマンションを購入すること自体が贅沢となってしまいそうです。。上位層も1回家を購入すれば普通は当分は家を購入しないでしょうし、非常に限られたマーケットな気がしてしまいます。世界との不動産価格との比較したときの割安感や土地取得代の高騰など、様々な価格上昇の要因もありますが、これからどのようになるのでしょうか。

まとめ

今回は現在のマンション価格の高騰から、国税庁の「民間給与実態統計調査」、厚生労働省の「国民生活基礎調査」から、日本の個人の平均給与、世帯の平均給与について調べました。共働きがマンション市場において、購入の主体となっていることはSNSなどで聞いて直感的に納得していましたが、実際のデータを見るのはおもしろかったです。一人の給与では購入可能層は狭いですが、世帯年収で考えると購入層はかなり増えます。年次推移を見ても直近10年ではこの購入層の数自体は増えているので、今の市場は成り立っているのだと感じました。

次回はマンションから離れ、上で気づいた世帯年収の平均値と中央値の差について、引き続き厚生労働省の「国民生活基礎調査」のデータから高齢化に伴う世帯構造の変化に焦点を当てて調べてみます。また、国税庁の「民間給与実態統計調査」から職種別の給与実態についてもコロナ禍の影響を考えるために調べてみました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました